ふたりで取り組む方法
乳がんの診断を受けるということは、女性にとって、いのちとおっぱいの両方の大切なものが危機にさらされている状態です。多くの女性は、診断後にショック、否認(何かの間違いだと思う)、絶望の状態に陥ります。その後、抑うつ、食欲不振、不眠、集中力低下などの不安な状態が続きますが、多くは1-2週間程度で落ち着きを取り戻していきます。大切な相手がショックを受け、傷ついているのを、そばで見ているのはとても辛いことなので、多くの配偶者はなんとかしてやりたいという気持ちになります。その結果、「くよくよしていても仕方ないから、前向きに頑張ろうよ」と励ましたり、自分の不安や心配を隠し「大したことじゃないから大丈夫」と強がったり、「治療については俺が全部決めるから、心配しなくていい」と過保護になってしまったりすることがあります。男性は、大切な人を守るために、自分1人でなんとかしようとする傾向が強く、さらに、不安な気持ち、つらい気持ちを聞くと、何か解決策を考え、アドバイスをしなくてはいけないような気持ちになる人が多いと言われています。けれど、乳がんの当事者はあなたではありません。当事者の奥さんは、前向きに頑張りたいけど、今は気持ちの整理がつかなくてくよくよしているのかもしれません。アドバイスをしてほしくて、つらい気持ちをあなたに話しているのではなく、ただ、あなたにつらい気持ちを聞いて欲しいのかもしれません。治療について、大切なおっぱいについて、自分と配偶者であるあなたと2人で考えていきたいのかもしれません。気持ちが落ち着いてくるまで、しっかりと「気持ち」を聞いてあげて、しっかりと気持ちを理解してあげることが、何よりもあなただからできることではないでしょうか。診断当時に、「この人には気持ちを話してもわかってくれない」と思われてしまうと、お互いに素直に話ができなくなり、悪循環に陥り、最終的にはお互いに別々に病と向き合うことになってしまいます。
また、診断から時間が経っても、治療方法を決めるとき、検査結果を待つとき、はじめての治療を開始するときなどは、一時的に不安が高まり、身体がしんどくなったり、感情的に不安定になったり、ひきこもりになったりすることがあります。特に、不安が高まる時期には、いつもより関心を向けて、奥さまと2人で一緒に病気に取り組んでください。
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