乳がんの診断と初期治療

乳がんの診断とこころの状態

こころの反応は、乳がんを疑うところから始まります。特に、検査の結果を聞くまでの時間は、とても長く感じ、いらいらしたり、仕事が手につかなくなったり、気持ちが不安定になったり、注意力が落ちること(鍵を忘れる、約束事を忘れるなど)もあります。また、診断を受けてからしばらくは、「頭が真っ白になった」「なんで私が」とショックを受け、絶望の状態に陥ります。その後、抑うつ、食欲不振、不眠、集中力低下などの不安な状態を経験しますが、多くは1〜2週間程度で落ち着きを取り戻していきます。乳房にメスを入れることに対して大きな抵抗を感じる人もいます。若いから、高齢だから、乳房が大きいから、小さいから...には関係なく、病気の受け止め方、感じ方は人それぞれです。

治療方法の選択

乳がんの進行度は、しこりの大きさ、リンパ節への転移、他の臓器への転移をもとにして、0〜4期に分けられます。治療計画を立てる際には、この進行度とホルモン受容体の状態、がん細胞の悪性度、組織型などの情報を考慮して考えていきます。初期治療としては、手術療法を中心として、放射線療法、化学療法、ホルモン療法があります。お医者さんとよく相談をして、納得のいく治療法の選択をすることが大切です。何度質問をしても納得のいく返事がもらえない場合、他の施設の医者からも意見をもらいたい場合には、これまでの検査データを持参し、セカンドオピニオンを求めても良いでしょう。

術前化学療法

術前化学療法は、手術の前に抗がん剤治療を行うことによって、腫瘍を少しでも小さくして、手術を縮小して身体に負担の少ないもの(乳房温存術)にすることを目標としています。また、しこりがある状態で抗がん剤治療を行いますので、使用する抗がん剤がどれくらい身体に合っていて効き目があるのかの感受性を知ることができるという利点があり、今後の治療方針を考える上でのたくさんの情報を得られる治療といえます。しかし、術前化学療法が適応でない場合や、抗がん剤に効果がない場合、腫瘍が小さくなってもその性質によっては乳房温存術ができない場合もあります。

外科的手術

手術は、乳房内のがん細胞を取り除くために行います。手術の方法は、乳房温存術と乳房切除術があります。乳房温存術は、しこりが小さい場合や広がりが小さい場合に適用されるもので、がんを含めて乳房を部分的に切除し、乳房を残す方法です。円状に切除する場合と扇状に切除する方法があります。また、乳房切除術は、しこりが大きい場合や広がりが大きい場合に適用されるもので、がんを含めて乳房全体を切除する方法です。通常、胸筋(胸の筋肉)を残す手術が行われますが、がんが胸筋に入っている場合は胸筋も一緒に切除します。手術による入院は病院にもよりますが、通常1〜2週間です。

術後の身体の症状

手術方法によってその程度は様々ですが、腕の筋力の低下、皮膚の知覚障害、腕や肩の運動障害、腕のむくみなどが起こります。運動機能を少しでも早く回復させ、痛みや腕のむくみを少なくするために、手術直後から軽い動作のリハビリを始めます。このような症状は個人差がありますので、お医者さんと相談しながら、身体の状態にあったリハビリをすることが大切です。手術でわきの下のリンパ節を切除された方では、身体の老廃物を運ぶリンパの流れが悪くなり、手術した側の腕が腫れることがあります。予防するためには、腕を圧迫しない、酷使しない、長時間同じ姿勢でいない、手術した側の腕の皮膚を傷つけない、体重管理、熱いお風呂はほどほどにするなどに気をつけて生活をすることが大切です。